「必要とされる情報教育とは」

経済学部

五十嵐 寧史

 

大学進学率が上がり、もはや18歳人口の過半数が大学生になるのは、企業が教育を外部化した背景がある。高卒では高度化した情報社会に対応しにくいが、企業自身で教育するのは手に余る。こうして高卒採用が減り、消極的に大学に来る学生も増えた。それでいて企業は大学を社会人養成の場と看做して意見するのだから勝手なものだが、大学は産業界の先を睨んだ教育をすべきだと思う。根源的な変化としてブロックチェーンがある。Bitcoinのベースとなっている技術で平たく言えば台帳をP2Pで共有するデータベースである。基本的に台帳はオープンでありながら、改竄が極めて困難という意味で信頼でき、匿名を基本としながらなりすましも難しい。技術的詳細は述べないが、そこに書かれている情報が信用できるレイヤーを提供する。ネットの情報は発信者を騙ったり、出所不明だったりでガセも多く、眉に唾をつけて眺めるべきものだったが、少なくとも発信元が特定でき、書かれている内容は本人によるものと信用できる基盤となる。ネットにおける「公証人」の出現を意味する。

「信用」できる情報提供手段があると何が実現するか?例えばそれは商取引履歴の情報基盤であったり、発信者を特定でき、信用できる情報拡散の基盤となる。前者は銀行を、後者はメディアを置換する可能性を孕んでいる。銀行は職員自体が信用の脆弱ポイントであるため、それなりの給与を与え忠誠心を支えているなどしているが、極めて高コストな仕組みにならざるを得ない。手数料も高額となり少額取引が実現しない。情報は伝わるようになっても小さな仕事、プロパティの取引ができないが、銀行抜きに決済できればこれが解決する。一方、テレビを始めとするマスコミは情報を歪みなく伝える役割を放棄しはじめているし、チャンネルも少なく分野に特化した情報も伝わらない。ブロックチェーンとSNSの組合せは情報拡散の信用できる手段となりうる。プロパガンダを交える数少ないチャンネルからではなく、読者が出所を確認可能な多数のチャンネルから、必要な情報を読み取るメディアにおきかわりうる。これらの意味することは、産業の役に立つというよりは、既存の、大き過ぎて無くならなかった産業を葬り去る技術だ。筆者の所属学部でもまだ学生を銀行に送り込む努力があるが、その前に大学として今後を見据えた就職戦略、産業の予想をすべきだと思う。本学の情報教育も信用のレイヤーを考えに入れたネットワーク技術をやり始めてはいかがだろうか。