情報と法学・憲法学

法学部

實原 隆志

 

 私が専門としている法学分野においても「情報」との語はしばしば登場し、情報の保護や公開の重要性が語られることがある。これ自体は決して最近のことではないが、情報の「保護」に関係する最近の話題には印象的なものが少なくない。

 例えば、昨年(2016年)は個人情報保護法の改正が公布された年であり、本稿を作成しているのは改正法の施行予定日である5月30日を目前に控えた時期である。今回の改正により、一定の条件付きながら、不正な目的での個人データの提供行為自体が処罰対象となる。改正対象になっているのは他にもあり、それらへの評価も様々であるが、一般市民や民間企業による個人情報の悪用に対して何らかの規制や対応策が必要であること自体は、否定しがたいところであろう。

 他方で、2016年にはある県の警察が労働組合の事務所敷地内に無断でビデオカメラを設置して情報収集を行っていたことが明らかになった。また、今年の3月には最高裁大法廷が、当事件におけるGPS捜査の違法性を指摘している。情報収集は警察が行うべき重要な任務であるとはいえ、ここで挙げた事例は、個人情報やプライバシー情報を警察が悪用しないことも重要であることに気づかせてくれる。

 民間企業における顧客情報の流出事件はしばしばニュースになっており、国は民間の事業者による個人情報の管理のあり方について、法改正などを通じて整備するよう求められる立場にある。ただ、上で示した通り、個人情報の悪用は一般の個人や民間企業に限ったことではない。公権力による悪用から個人の情報を保護することも現代社会における重要な課題である。公権力の濫用に対する抑止は憲法が有する重要な機能の一つであり、そのことを私が担当している授業において指摘することも多いが、情報の保護をめぐる最近の話題は、国による対応の必要性だけでなく、公権力が濫用されるおそれも再認識させるものであったように思われる。