パソコンで授業ノートを取ることは有効か?

スポーツ科学部

山口 幸生

 

 全国の大学で学生PC必携化の流れが進んでいる。流行のアクティブラーニングを推進する上でも、うまく活用できれば生産的な学習に寄与することであろう。このような背景から、今後、授業にノートPCを持ち込み、PCでノートを取る学生が増える可能性がある。私が担当する授業でも多くはないが、授業内容をキーボードで打ち込む学生の姿がある。一見すると意欲的な学生で、さぞ理解度も高いのだろうと思われるが、それは本当なのだろうか?もちろんPCで授業以外の遊びをしているのは論外だが、授業中のPC使用に関しては賛否両論がある。PCを持ち込んでノートを取ることを禁止する教員もいるらしい。手書きより早くて、整理や情報共有しやすく、ノートに動画や音声を貼り付けることも可能、というのは賛成派の主張だ。反対派(教員が多い)は、入力することに気が取られ自分の頭で考えなくなるので、かえって成績が下がると主張する。この問題を検証した心理学者は、授業中にPCを使用している学生は、その時間内に行われる試験では成績がよいが、最終試験ではPCを使用していなかった学生より成績が低かったことを報告している。さらにPC使用者が視界に入る席にいた学生は、そうでなかった学生より成績が低いことも明らかにされた。集中力が妨げられたから、というのがその結果の解釈である。

 個人的には、学生が創意工夫しながら自分に合ったやり方で授業理解を深められるなら、どのようなやり方でもかまわないと思う。しかし、そんな風に創意工夫できる学生は少ないので、全体を考え一律に授業中のPC利用について禁止を言い渡す教員の気持ちはわからなくもない。

 言えることは、授業時のPC利用だろうと、アクティブラーニングだろうと、特定のやり方は授業目的を達成するための手段であって、目的ではない。この点をはき違えるから過去に行われた先進的な取り組みと言われたものが、失敗しているのであろう。いずれにせよ、現在進行中の日本の高等教育における教授法に関する改革の機運は、自身の教育者としての力量を間違いなく試されるものである。わくわくしながら取り組んでいきたい。